
子どもの人生まで、親がスーパーマンにならなくていい。
そう思えたとき、心が少し軽くなりました。
今度公開されるハイキューの映画の話を、娘としていました。
「また漫画、読み直したいね」
そんな何気ない一言から始まった会話だったのに、気づけば二人で、ハイキューのどんなところが心に残っているのかを話していました。
よく考えると、私たちは最初、バレーボールのルールすらほとんど知りませんでした。娘は、運動が得意というタイプではありません。
それなのに、どうしてあんなに夢中になったのだろう。娘は少し考えてから、こんなことを言いました。
「みんな、いい意味でスーパーマンじゃないところが、親近感わくんだよね」
その言葉を聞いたとき、私の中で、ハイキューがずっと心に残っている理由が、少しだけはっきりした気がしました。
ルールも知らなかったのに、なぜ惹かれたのか
正直に言うと、ハイキューを読み始めたころの私たちは、
バレーボールのルールをほとんど知りませんでした。
試合の人数、ポジションの違いも、ローテーションも、よく分からないまま。
それでも、気づけばページをめくる手が止まらなくなっていました。
試合の細かいことは理解できていなくても、心が動く場面はたくさんありました。
点を決めた瞬間よりも、うまくいかなかったあとの表情や、
悔しさを抱えたまま立ち上がる姿のほうが、なぜか強く印象に残っていて。
娘が言った
「みんないい意味でスーパーマンじゃないところが、親近感わくんだよね」
という言葉を聞いたとき、ああ、そうかもしれない、と思いました。
ハイキューは、特別な力を持った誰かが無双する物語ではなくて、
足りないものや弱さを抱えたまま、それでも前に進もうとする人たちの話。
だからこそ、ルールを知らなくても、自然と引き込まれていったのかもしれません。
小さいというハンデを、ちゃんと知っている主人公
娘のその言葉をきっかけに、私はある場面を思い出しました。
ハイキューの主人公は、体格に恵まれているわけではありません。
「小さい」ということは、バレーボールでは明らかなハンデとして描かれています。
作中で印象的なのは、主人公がその現実から目をそらさないところです。
自分は有利な立場ではない。
だからチャンスは多くない。
そのことを、主人公自身がちゃんと分かっている。
だからこそ、いつ来るか分からない一瞬のために、準備を続けている姿が描かれます。
最後の試合で体調を崩し、コートを離れなければならなくなる場面があります。
そのときに先生がかけた言葉が、娘の心に強く残っていました。
「君は 君こそは いつも万全で チャンスの最前列に居なさい」
『ハイキュー!!』第41巻/古舘春一・集英社より引用
当時は、ただかっこいい言葉だと思っていました。
でも今、娘と話していて、
「準備して、そこに居続ける」という意味が、少しだけ分かった気がしています。
特別だから準備するのではなく、
不利な立場にいるからこそ、準備を怠らない。
その姿勢が、ハイキューという作品の根っこにあるものなのだと思います。
この言葉が、親の心にも残った理由
娘が「ここが刺さった」と話してくれたその場面を聞きながら、
私は少し黙ってしまいました。

派手に感動したわけじゃないのに、なぜか胸に残っていて
子どもを育てていると、「ハンデ」や「差」という言葉に、どうしても敏感になります。比べたくなくても、周りと比べてしまったり、「この子は大丈夫だろうか」と先回りして心配してしまったり。
そんなとき、つい「頑張ればなんとかなる」「気合で乗り越えよう」と言いたくなるけれど、
先生の言葉は、もっと現実的でした。
チャンスが少ないことを、ちゃんと知ること。そのうえで、その一瞬に備えて、いつも万全でいること。
それは、「無理をしろ」という話でも、「才能がなくても夢を見ろ」という話でもなくて、今いる場所を受け入れたうえで、どう在るかを考える姿勢の話のように思えました。
親として、子どもに何かをしてあげられる時間には限りがあります。
全部のチャンスを用意してあげることも、全部の不利を取り除いてあげることもできません。
だからこそ、「いつか来るかもしれない一瞬に向けて、準備してきた時間がある」
その事実が、子どもの中に残っていくのなら、それでいいのかもしれない。
娘があの場面を大事に覚えていたこと自体が、もうすでに、ひとつの「できた」なのだと思いました。
スーパーマンじゃないから、真似できる
ハイキューを思い返していて感じるのは、
この物語が、誰か特別な人のための話ではないということです。
登場人物たちは、それぞれに弱さや限界を抱えています。
思うようにいかないことも、報われない時間もたくさんある。
それでも、できることを探して、準備を続けている姿が描かれています。
だからこそ、「すごいな」と憧れるだけで終わらない。
「これなら自分にもできるかもしれない」と思わせてくれる。
スーパーマンじゃないからこそ、親近感がわくと思える物語なのだと思います。
今回、娘と話しながら、
同じ場面を見ていても、受け取る言葉や感じ方が少しずつ違うことに気づきました。
それでも、心に残っていた大切なところは、きっと同じだった気がします。
うまくいくかどうか分からなくても、
チャンスが少ないと分かっていても、
それでも準備をして、前に立とうとすること。
ハイキューは、そんな姿勢を、静かに肯定してくれる作品です。
ハイキューは、読むタイミングや立場によって、刺さる場面や言葉が少しずつ変わる漫画だと思います。
もし今、
・子どもの成長が見えなくて不安になっているとき
・自分や誰かと比べて、立ち止まりそうになっているとき
・ただ、前に進む気持ちを思い出したいとき
そんなタイミングがあったら、
また読み返してみるのもいいかもしれません。
親として読んでも、子どもと一緒に読んでも、きっとそれぞれの立場で、心に残る言葉が見つかるはずです。
▶︎ ハイキュー!!(原作コミックス)
ハイキューは、アニメで初めて触れても、
言葉や間の取り方に、ちゃんと心が動く作品だと思います。
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